2008/6/9 開設
2022/2/15 更新

明治時代 教育資料

裁縫雛形


 



     明治時代三十年頃女学校の裁縫の授業で制作された和服、洋服、蒲団、蚊帳などの雛形を二十七点ご紹介します。
    裁縫雛形とは、明治時代裁縫の授業で生徒に実習させたミニチュア版の衣服である。実寸の三分の一サイズの裁縫
    なので、生地の節約と短時間に様々な衣服の縫い方を学習させることが出来る。
    明治十四年東京家政大学の前身「和洋裁縫伝習所」において、渡邊辰五郎が
雛形尺(ひながたざし)(鯨尺による実寸の約1/3縮尺 )
   を使って、生徒に製作させ、服飾の技術を教授したのが始まりという。
   なお東京家政大学所蔵の裁縫雛形コレクションは国の指定重要有形民俗文化財に指定されている。(東京家政大学博物館)


    

1 裃(かみしも)  肩衣(かたぎぬ)麻布 (丈27.5㎝)

        

2 裃(かみしも) 袴 麻布 (丈35㎝)
      前                    後

3 裃(かみしも)  肩衣(かたぎぬ)麻布(丈21㎝)
 

 4 裃(かみしも)  袴 麻布 (丈25㎝)
           前                    後
     

7 袴 男物 もめん (丈22.5㎝)
前                    後
               

 8 袴 男物 もめん (丈34㎝)
  前                    後

9 袴 男物 もめん(丈31㎝)
前              後
                
 
 10 袴 男物 もめん(丈20㎝)
              前                 後

11 袷袴 男物 (丈23 ㎝)
             
 
12 単袴 行灯袴(丈22.5㎝)

12 本比翼仕立(ほんひよくじたて) 長着(丈52㎝)


13 道行き 子供用 (ひも付き  肩揚げ ) (丈38㎝)
                 前                    
 後

14  ワンピース  ミシン縫い (丈25㎝)      15  ワンピース  ミシン縫い(丈26.5㎝)      16  ワンピース ミシン縫い(丈19.5㎝)
17  ワイシャツ  ミシン縫い(丈27.5㎝)
18 エプロン ミシン縫い(丈19㎝)
 
19 ワイシャツ  ミシン縫い(丈28㎝)
  20 股引(丈35㎝)
   21股引 ミシン縫い(丈35㎝)
 22 掛布団 (29㎝×31㎝)

     23 敷布団
    ( 29㎝×17㎝)
      24  結飾り
 
25 蚊帳
縦×横×高さ=49㎝×41.5㎝×42.5㎝


      26 単羽織 (丈19.5㎝)         27 洋服 未完成
                                  (丈49㎝)
 

その他、座布団(8.5㎝×8.5㎝)・袴(丈35㎝)・シャツ(丈9.5㎝)の3点  合計 30点雛形

                                     

                 参考資料  文部科学省 学制百年史 文部省局課変遷・学校系統等図表 学校系統図  より    

       

 
参考サイト

        統計資料 

      学制100年史 文部科学省
  

      我が国の家庭科教育の経験と特徴 文部科学省 
 
  


              

                   
          あとがき   
  昨年九十二歳で亡くなった母の遺品を整理している折り、風呂敷に包まれた一つの箱の中に、
  人形の着物のような小さな衣服が沢山納められたものがあった。生前一度だけ母がこの箱を
  開けて私に見せてくれたことがあった。母の母、つまり私の祖母が女学校の授業で制作した雛
  形と聞いたのだが、その当時の私は珍しい物とは思ったものゝ、さほど関心を留めることなく、
  何年もそのままになったいた。恐らく実家の押入の中に五十年間も眠っていたものと思われる。
  この度、改めて祖母の縫ったという雛形を手に取り見ていると、大きさは縮小版ながら、仕立て
  はすべて実物と全く同じで、ひとつひとつ実に丁寧に見事に縫製されていて、百余年前の女学
  校の授業に思いを馳せつつ、昔の人の手仕事の器用さ、几帳面さに感心した次第である。
  私の祖母は明治十九年(1886)広島県福山市(当時は
沼隈郡(ぬまくまぐん))松永で生まれ、広島県府中市
 (当時
甲奴郡(こうぬぐん))で暮らし、昭和三十二年(1958)七十二歳で他界した。
  雛形は明治三十年前半頃、おそらく松永の女学校在学中に制作したものと思われる。
  祖母の縫った雛形は明治・大正・昭和・平成と時代は移り行き、百年余経った。特に戦争中や、
  広島の原爆投下による未曾有の罹災、戦後の困難な時代に続いて、何度かの転居を重ねたこと
  を考えると、残ったのは実に稀有のことのように思える。祖母自身にとっても、また母に
  とっても、それぞれの思い出のよすがとして、大切に仕舞って置いたものと思われた。
  祖母の遺した裁縫雛形は実寸の三分の一縮尺の雛形に限らず、様々な縮尺の雛形が混在すると
  思われるが、明治時代の女子教育の貴重な資料として、この度ネットの公開を思い立った。
                         平成二十年六月吉日   和泉屋 楓 
      

       

                           

          
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